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違法と判断される不当な「異動・配転」はどのようなものか?

2011年11月14日

◆事件の概要
先日、上司の行為(取引先の社員を引き抜こうとしていた行為)を社内にある「コンプライアンス窓口」に内部通報したことにより不当な異動(まったく経験のない部署への配置転換)を命じられたとして、現役社員(原告)が勤務先(被告)に異動の無効確認と損害賠償(1,000万円)を求めていた訴訟の控訴審判決がありました。

東京高裁は「業務とは無関係に異動を命じており、人事権の濫用に該当する」として、原告敗訴とした1審判決を破棄し、異動は無効であるとし、会社と上司に220万円の賠償を命じました。

◆不当・違法と判断されるケース
人事権は広く会社に認められていますが、上記のケースの他、どのような人事異動・配置転換が不当・違法であると判断されるのでしょうか。

過去の裁判例では、(1)業務上の必要性が存在しない場合、(2)仮に必要性が存在したとしても他の不当な動機・目的による場合、(3)労働者に対して通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合等、特段の事情の存する場合においては、人事権の濫用に該当するとしています。

なお、(2)でいう「不当な動機・目的」とは、社員を退職に追い込む目的,上司による嫌がらせ目的等が考えられます。

◆業務の系統を異にする職種への異動
この他、業務の系統を異にする職種への異動については、業務上の特段の必要性、当該従業員を異動させるべき特段の合理性があり、これらの点につき説明が十分になされた場合か、本人が特に同意した場合を除いては、会社は一方的に異動を命ずることはできないとした裁判例もあります。

個々の裁判例は背景にそれぞれ特殊な事情があり、他の同様のケースにもすべて当てはまるわけではありませんが、会社としては、人事異動・配置転換が不当・違法なものと判断されないよう注意する必要があるでしょう。


出島労務管理事務所便り(平成23年10月15日号)より

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