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「名ばかり管理職」排除通達について

2008年12月15日
◆管理監督者の範囲の明確化
厚生労働省は、「名ばかり管理職」問題を解決するため、労働基準法上の管理監督者
に該当するかどうかの判断基準を示した「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗に
おける管理監督者の範囲の適正化について」(平成20年9月9日付け基発第0909001
号)と題する通達を、9月9日に出しました。
この通達が出された背景には、店長に対す
る残業代支払いを大手外食チェーン等に命じる判決が相次ぐ中、裁判例を参考に法律
の運用を見直す必要に迫られたことがあります。


◆9月9日付け通達の内容は?
上記の通達では、多店舗展開する小売業や飲食業を対象に、管理監督者性を否定する
重要な要素を挙げています。
具体的には、(1)アルバイト・パート等の採用に責任がない
こと、(2)部下の人事考課が職務内容に含まれないこと、(3)遅刻や早退の際には減給
等の不利益な取扱いをされること、(4)賃金額が当該企業の他の一般労働者の賃金
総額と同程度以下であること、といった項目が列挙されています。


◆通達のより正確な理解のために
しかし、上記通達については、連合と日本労働弁護団が「管理監督者の基準の緩和に
つながりかねない」として同省に見直しを要請していた。
そこで、業界団体等が誤った
解釈をしないよう、厚生労働省は10月3日に新たに「多店舗展開する小売業、飲食業等
の店舗における管理監督者の範囲の適正化を図るための周知等に当たって留意すべき
事項について」(平成20年10月3日付け基監発第1003001号)を出しました。

この通達では、9月9日付けの通達の趣旨・内容が正確に理解されるように懇切丁寧な
説明を行うよう求めており、次のポイントを指摘しています。

(1)店舗の店長等について、管理監督者の範囲の適正化を図る目的で発出されたもの
であること
(2)昭和22年9月13日付け通達で示された管理監督者の基本的な判断基準を変更した
り緩めたりしたものではないこと
(3)判断要素は否定的な要素を整理したものであり、これらにひとつでも該当する場合に
は、管理監督者に該当しない可能性が大きいと考えられること
(4)通達に該当しない場合は、実態を踏まえ、慎重に判断すべきものであること
また、同省ホームページ上では9月9日付け通達に関するQ&Aも公開されました。
通達
の説明や周知徹底のために再度念が押されるということは、「名ばかり管理職」問題に
対して国が本気で対応し始めたことの表れと言えるでしょう。
企業では、この問題に対して
速やかな対応策を取ることが求められます。


(出島労務管理事務所便り平成20年11月15日号より)

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