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医療崩壊の歯止めに厚生労働省が対策検討
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医療崩壊の歯止めに厚生労働省が対策検討
2008年09月22日
◆医師数の抑制は政策の誤りだった?
厚生労働省は、医師不足による医療崩壊に歯止めをかけるため、大学医学部の定員削減
を定めた閣議決定を撤回し、医師の養成数を増やす方針を決定しました。
「医師は全体
としては余っている」として医師数の抑制を続けてきた政策の誤りを認めた格好です。
◆「数は増えても医師不足」の現状
現在の医師数は約27万人で、毎年3,500人程度の純増が続き、全医師数でみると増加が
続いています。
しかし、医師は設備の整った都市部の大病院や皮膚科など特定の診療科
に集中しているのが現状です。
へき地などの地方は医師数が足りず、地域間の格差が
非常に大きくなっています。
また、産科・小児科・救急病院などは激務のため敬遠され、なり手が見つかりません。
地域・診療科によっては、医療崩壊が深刻化しているのが現状なのです。
加えて、近年、
高齢化による患者増や医療の高度化・専門化が進み、医師総数が不足しているとの声が
強まっていました。
◆検討されている様々な対策
大学医学部の定員数を増やして養成数を増やすことに加え、厚生労働省では様々な対策
を検討しています。
診療科の偏在については、まず、産科・小児科の医師不足解消のために、女性医師の
積極活用が進められます。
女性医師は産科・小児科で主力を担いますが、結婚や出産を
機に辞めるケースが多いのが現状でした。
そこで、短時間だけ働く正職員制度の導入や
病院内の保育所の充実などを進めるほか、助産師を増やして体制を整える方針です。
また、救急医療の体制整備に向けて、診療所の医師が夜間や休日も外来患者を受け入
れられるように支援することも検討項目です。
地域の偏在については、都市部や特定の病院に集中しないような対策が必要です。
現在
の、研修医が研修先の病院を選ぶことのできる仕組みの変更が必要になるかもしれませ
ん。
医師不足の診療科や病院に積極的に医師を派遣した医療機関に手厚く補助金を
配分する仕組みを導入することや、狭い専門分野だけでなく1人で幅広い診察ができる
「総合医」の育成も重要となっています。
大学の医学部定員を増やしても、現場の医師数が増えるのには10年程度の期間がかか
るといわれています。
社会保障費を抑制する努力を怠ったまま医師不足対策ばかりを
優先していては、財政的に次世代にツケを回すことにもなりかねません。
医師不足の
解消とともに、医療のムダを減らす効率化を一段と進める必要もありそうです。
(出島労務管理事務所便り平成20年8月15日号より抜粋)
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