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2010年発足予定「日本年金機構」の組織改革

2008年09月02日
◆社会保険庁の組織改革
抜本的な組織改革を行っている社会保険庁。
2008年10月には政府管掌健康保険の
運営を「全国健康保険協会」という新しい公法人に分離し、2010年1月には社会保険
庁を廃止して「日本年金機構」という新しい公法人が設立されます。
とりわけ日本年金
機構は、社会保険庁の相次ぐ不祥事と年金問題に対応するために、徹底した改革を
迫られています。


◆人員削減と懲戒処分者の排除
政府の「年金業務・組織再生会議」がまとめる、社会保険庁組織改革の最終報告書案
をみてみましょう。

同会議は、業務の外部委託や情報技術(IT)の活用で、大幅な人員削減が可能と判断。

日本年金機構の発足時の正規職員数を約10,900人とし、現行比17%減とすることが
決定しています。
一方で、民間からの採用を拡大し、機構発足時に外部から1,000人
を採用するため、社会保険庁から正規職員として移行するのは約9,900人にとどまり
ます。

個人情報の覗き見などで懲戒処分を受けた職員の排除も重視し、懲戒を受けたことの
ある職員は正規職員として採用されません。
懲戒処分者については有期雇用とし、
退職金にも差をつけることとしています。
こうした方向性が明らかになるにつれ、退職の
意向を示す、過去に処分を受けた職員が続出しているそうです。

これまで、社会保険庁では、「厚生労働省採用のキャリア組」「社会保険庁採用のノン
キャリア組」「地方採用のノンキャリア組」という3層構造を維持してきました。
各層間で
問題を共有しない一体感を欠いた運営が、今日の年金記録問題につながったとも言わ
れています。
この反省から、人事権を本部に集約すると同時に、年金機構の幹部に
厚生労働省出身のキャリアを充てる場合には本省には戻さない「ノーリターンルール」
を適用し、現場への監督責任を明確化するそうです。


◆今後の課題は?
今回の改革では、「数減らし」にこだわり過ぎた感があることも否めません。
全国の社会
保険事務所の窓口には年金記録関連の相談者が殺到しており、慢性的に人手が足り
ない状況が続いています。
今後も増大する業務量に改革後の人員数でどのように対応
するかなど、実務面での課題は多く残っているといえます。
結局、非正規雇用などで穴
埋めすることになれば、相談などの業務でサービスの質が保てるか不透明です。

数は減らしながらもいかにサービスの質の向上を目指すか、一見矛盾したようにも見え
るこのテーマにどう取り組むかが、今後の課題です。


(出島労務管理事務所便り平成20年8月15日号より抜粋)

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